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チジョウノテンシの母オグリローマン

テンシのお母さんで桜花賞馬オグリローマンに関する記事がJRAのサイトにでてましたので
勝手にコピーして発表してしまいました、(JRA発展のためと、勝手にコピーしちゃった事は勘弁してやってください)

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 テイエムオペラオーやエアシャカールといったクラシックホースを破り、産経大阪杯で見事な重賞初制覇を果たしたトーホウドリーム。GI実績馬たちをまとめて差し切った直線での切れ味は素晴らしいの一語でしたが、この馬の潜在能力を余すところなく引き出した安藤勝己騎手の手綱さばきも本当に見事なものでした。

 安藤騎手は笠松競馬の田邉睦雄きゅう舎の所属騎手で、デビューからの勝ち星数が3100勝を超える地方競馬を代表する一流騎手。この勝ち星数以上に驚かされるのが生涯連対率で、1万3000回以上の騎乗回数がありながら4割の高連対率をキープ。地元での信頼度は絶大と聞きますが、この数字ならそれも当然のことでしょう。

 まだ中央でのGI勝ちは果たしていない安藤騎手ですが、地方馬にジャパンC以外の中央GI挑戦への道が開けたのはそれほど昔のことではなく、地方馬が地方に在籍したまま中央に挑戦できる制度がもう少し早くできていたなら、安藤騎手の中央でのGI優勝はあっさりと達成されていたのではないでしょうか。

 笠松が誇る名馬オグリキャップ、そして今回の優勝馬物語の主役であるオグリローマン。2頭のGIホースは兄妹馬で、笠松時代に主戦を務めていたのは安藤騎手でした。このクラスの馬で中央のGI挑戦を果たしていたなら、優勝は決して難しいことではなかったはずです。
 自分の手を離れていった馬たちの華やかな中央での活躍振りを、安藤騎手はどんな気持ちで見ていたのでしょうか。


 中央重賞で12勝、うちGIレースで4勝という超一流の成績を残したオグリキャップを兄に持つオグリローマンは、平成3年5月に北海道三石町の稲葉牧場で生まれました。

 血統は父がブレイヴェストローマン、母がシルバーシャーク産駒のホワイトナルビーで、母が産んだ12番目の子供。6番子のオグリキャップは人気種牡馬とは言えないダンシングキャップを父に持つ馬でしたが、兄の活躍で牧場でもホワイトナルビーには積極的に人気の高い種牡馬を配合するようになりました。

 11番子のオグリトウショウ(父トウショウボーイ)が生まれると、どうしてもブレイヴェストローマンをホワイトナルビーに付けたくなったという稲葉裕治場主。種付けシーズン末期で株を手に入れるためにかなりの苦労をしたそうですが、割高な金額にも躊躇することなく種付けの権利を手に入れ、翌年春に生まれた芦毛の牝馬がオグリローマン。

「生まれてきたときは女馬だったからちょっとがっかりしたけど、全身で走るときの一瞬のスピードみたいなのがキャップがうちにいたときとそっくり。この馬が走らないのなら、どんな馬を作ればいいのか分からなくなってしまうと感じたほどでした」
と、稲葉場主はデビュー前からオグリローマンの素質に心底惚れこんでいました。

 その期待通り、オグリローマンは平成5年7月に笠松競馬場でデビューすると、3歳時に7戦6勝、2着1回の好成績をマーク。この7戦中6戦でコンビを組んだ安藤騎手の手元を離れ、オグリローマンはいよいよ中央デビューを迎えることになるのでした。


 クラシック登録がなく、現在のように追加登録の制度もなかったことからクラシックレースの優勝どころか出走さえ果たせなかったオグリキャップ。兄と同じ栗東の瀬戸口勉きゅう舎に転きゅうしたオグリローマンには、当然のように兄の果たせなかったクラシックレース優勝の期待がかけられました。

 ところが、武豊騎手とのコンビで臨んだ中央初戦のエルフィンSで、オグリローマンは1番人気の支持を裏切る9着しんがり負け。
「初物づくしだけに、この1戦だけでは何とも言えませんね・・・・」
と、レース後の武騎手は大敗にも馬をかばうコメントを出していますが、クラシックどりを期待される馬としてはあまりにも不甲斐ない内容。

 地方時に獲得した賞金から桜花賞の出走には問題がないとは言え、このまま不安を抱えて本番を迎えるわけにはいきません。瀬戸口調教師は、オグリローマンの中央2戦目をこの年から重賞に格上げされたチューリップ賞に決定。当日、中山で騎乗する武騎手に代わり、田原成貴騎手との新コンビでレースに臨むことになりました。

 前走の大敗にも、オグリローマンに対するファンの評価は下がらず、タックスへイブンに次ぐ2番人気の支持。この高い評価に馬も発奮したのか、アグネスパレードには敗れたものの半馬身差の2着に好走。

「怖がりな気性だし、全体的に若さが目に付く。それでこの内容だからね・・・」
本番の桜花賞で有力馬の1頭、ローブモンタントに騎乗する田原騎手は、この1戦でオグリローマンの潜在能力の高さを感じ取ったようで、レース後は騎乗馬の重賞好走を喜びながらも複雑な表情。そして、田原騎手がこのときに感じた不安は、1ヵ月後の桜花賞で現実のものになってしまうのでした。

 再び鞍上を武騎手に戻し、最高の状態に仕上げられて桜花賞を迎えたオグリローマン。他馬を怖がる気性に最内枠スタートは厳しい条件でしたが、武騎手は中団の内で馬の機嫌を損ねることなくスムーズに追走。直線ではうまく外に出し、内に入ったツィンクルブライドとともに1番人気のローブモンタントに鋭い末脚で襲いかかると、これを並ぶ間もなく抜き去りゴール前は2頭の激しい追い比べになりました。

 馬体を離したままゴールを駆け抜けた2頭。写真判定の結果はハナ差で、オグリローマンが先着を果たしていました。

 オグリローマンのウイニングランにスタンドで沸き起こるオグリコール。
「阪神でのオグリコールも格別でした」
兄オグリキャップで経験した熱いコールを思い出したのか、武騎手もレース後は感慨深げな表情。もちろん、この血統からクラシックホースを出したいと願い続けてきた稲葉牧場の関係者、小栗孝一オーナーの喜びは大きなものでした。


 現在は生まれ故郷の稲葉牧場で繁殖牝馬としての生活を送るオグリローマン。桜花賞後はスランプが続き、5歳1月には脚部を骨折したこともあって早々と競走生活を引退していますが、母ホワイトナルビーの後継牝馬としての大事な仕事があるだけに、無事に牧場へと戻ってこれたことはなによりでした。

 まだ牧場が期待するような大物は出ていませんが、初子のオグリロマンス(父ノーザンテースト)、2番子のオグリデンセツ(父ジェネラス)の2頭が中央で勝ち星をマーク。繁殖牝馬としてもまずまずの活躍を見せています。

 名繁殖牝馬ホワイトナルビーの後継馬として、いつか兄オグリキャップや自身に負けないような活躍馬を送り出してくれるかどうか。種牡馬として厳しい戦いを続けている兄とともに、今後の活躍を祈りたいものです。



※オグリローマンの年齢は旧表記。




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